哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

個別性の迷妄

ショ-ペンハウアーはくり返しいう。 生れたままの個人のまなざしは、マーヤーのヴェールに曇らされている、と。 この意味は二つある。 1 自分の存在と重要さを盲信するいっぽう、自分以外の存在と重要さを本当には信じていないのが人間の自然状態である。 …

書庫を作って記事を振り分け

ブログを始めて以来、書庫を決めずに漫然と書いてきたが、今日ちょっと整理してみる気になった。 「日記」書庫 http://rdsig.yahoo.co.jp/blog/article/titlelink/RV=1/RU=aHR0cDovL2Jsb2dzLnlhaG9vLmNvLmpwL2N5cW5oOTU3LzE0ODM4NTQ0Lmh0bWw- をメインに、 …

与えられていない物を取らない

この世において、長かろうと短かろうと、微細であろうとも粗大であろうとも、浄かろうとも不浄であろうとも、すべて与えられていない物を取らない人、──かれをわれは<バラモン>と呼ぶ。 (ブッダの真理のことば409 中村 元訳) おれは、仏教徒が最低守るべ…

悟っているなら、修行は不要か?

もしこの身このままで悟っているなら、修行は不要である。 この主張は、どこに誤りがあるか。 つらい修行をすることによって、はじめて楽しい悟りが得られるという凡夫の思い込みがぜんぜん捨てられていない点にある。 「悟っているなら、修行は不要」は、こ…

真実の告白

おれは、頭がひどく悪い。 どのくらいひどいかというと、頭が悪いということを、すぐ忘れてしまうほど、頭が悪いのである。 おれは、ひどくうぬぼれ屋だ。 決してうぬぼれ屋ではないと、つい思いこんでしまうほど、うぬぼれが強いのだ。

架空対談16

現実主義者 システム?それはどういう… 仏教者 昔、ケインズ経済学がもてはやされたころ、よく言われた冗談とも本気ともつかない話として、こういうのがあったのをみんな知ってるでしょう。 不景気な世の中で、失業者がなにもせずに生きてゆくわけにはいかな…

無常観と罪悪感

仏法に入る門は、大きく別けて二つある。 無常観と罪悪感である。 おれは無常観を深める努力によって仏法に親しくなっていく生まれつきらしい。 おれがもし無理に自己の罪悪意識を深めようと努力し、それによって宗教的に深まろうとすれば必ず偽善に落ち込ん…

生活し難い

恥を知らず、烏(からす)のように厚かましく、図々しく、ひとを責め、大胆で、心のよごれた者は、生活し易い。 恥を知り、常に清きをもとめ、執著をはなれ、つつしみ深く、真理を見て清く暮す者は、生活し難い。 (ブッダの真理のことば ダンマパダ244,245 中…

架空対談15

現実主義者 ところで、あなた達はなぜ死を恐れるのかな。 だれも死を経験していないわけでしょ。 ぼくがいるときは死はいない。 死がいるときはぼくはいない。 だから、心配ないって説もある(笑) 仏教者 そりゃだめだ。 そんな生悟りに落ちついていると、…

架空対談14

キリスト者 ぼくも聞いた覚えがあるけど…ちょっとさわりを歌ってみてよ。 現実主義者 えーっと、具体的な歌詞までは出てこないので、無理です(笑) みんな死ぬんだから、仲良くしろよ、と。 そう歌ってた気がする。 ま、うろ覚えなので、この話はこのくらい…

架空対談13

現実主義者 本当にそう思って生きると、理性と感情は自己として最高度に澄み切ってくる。 世の中の何がつまらなくて、何が大切か、本当のところが明瞭に分かるようになる。 仏教者 それはぼくも、似たような体験がある。 世界がすっかり違ったふうに見えてき…

架空対談12

仏教者 人生は、すばらしい。その美しさ、麗しさは賛嘆に値する。 しかし、人の死なねばならぬ宿命が、そのすべての輝かしさを灰色に塗りつぶしてしまう。 死とは、人間にとって最大の不可解なパラドックスです。 現実主義者 それはもちろんよく分かるよ。 …

架空対談11

キリスト者 じつに、感覚的体験というものが、新鮮に感じられるのは、はじめだけです。 してみると、これは感覚がわたしを欺いているのだと思わざるを得ない。 現実主義者 それは、男女間の快楽にもいえますか。 キリスト者 少なくとも、セックスの快楽につ…

架空対談10

現実主義者 いや、人によるんじゃなくて…ぼくはこうだと思う。 人間、年とれば目はかすんでくる、耳は遠くなる、すべての感覚的な快感は年とともに失われてしまう。 で、この避けられない事実によって、若者は二通りの努力を平行して心がけるべきだと(笑) …

架空対談9

キリスト者 特に、世界の中で今の日本は相対的に平和ですからね。 平和な日本の中で生きる者の多くは「このように安定した社会で、不満をいうのは贅沢だ」とも思っている。 仏教者 彼らの認識は最悪ではないが、まだ低い段階に止まったままですね。 人の世は…

架空対談8

仏教者 なにか、自分に欠陥があると決めこんで、しかも他人に直してもらおうと、あちこち持ち歩いてしまう。 そのいっぽうで、世間の低劣な情欲を自分の上に現して、いたずらに宿業を重ねている。 キリスト者 結論から先に言っちゃうとね、人間は神を、神の…

架空対談7

現実主義者 しかし、死期がせまった世界有数の大金持ちが、名を隠してふらふらしてたって話が昔あったんですよ。「自分はなぜ死ななきゃならないのか。億万長者になった今、生きていればなんでも思いのままなのに」と悩んだのかもしれない。 仏教者 人生の空…

架空対談6

キリスト者 しかし、人は昔いじめられた仕返しをしたいという欲だけで、そこまで愚かにならないと思うな。 現実主義者 もちろん多くの人達にとって当面の問題は、経済的悪条件からくる生存の不安が精神を萎縮させていることでしょう。 現代日本のように、じ…

松岡正剛

いつも読ませてもらっているnietzsche_rimbaudさんのブログ 「英文ダウジング翻訳のメモ」http://blogs.yahoo.co.jp/nietzsche_rimbaud/42866934.html にショーペンハウアーに関する記事が紹介されている。 『松岡正剛 千夜千冊 遊蕩篇』のサイト。 http://w…

架空対談5

現実主義者 それは、たとえばこういうことでしょうか。 何か事件を起こした人の親もとに「自分が親なら、世間への申し訳なさに死ぬだろう。おまえたちはよく平気で生きていられるものだ」などと、しつこく電話してくる… 仏教者 「おまえたち親は、責任をとっ…

架空対談4役に立たない

仏教者 世界のありさまを、別のたとえで言います。 用向きや目的地を聞かずに、あわてていっせいに走り出してしまった、元気はいいが粗忽な子供たちに似ています。 彼らは誰一人「なんのために、どこへ」という肝心のことを知らないで走っている自分達のばか…

架空対談3

キリスト者 しかし、もちろん人間の幸福は食べることではない。 仏教者 食べることは、幸福どころか、実は苦なんですが、まあ、それは今は言いません。 キリスト者 現代は、あらゆることがなんか変だと、ごく普通の人々が感じている時代でもあると思います。…

架空対談2

キリスト者 人間個人についても、こんな人柄の人ならかならず大往生できるとか、こんな人物なら畳の上で死ねるというような人は、いまはひとりもいなくなった。 現実主義者 でも、ぼくは今までのところ、この人間社会はよたよた歩きながら、少しづつ良くなっ…

架空対談1

自分の分裂気味の考えを整理するために、架空の人物を3人でっち上げて、対談させてみることを思いついた。 登場するのは、 .リスト者気取りの人。長いので略してキリスト者。 ∧教者気取りの人。略して仏教者。 8充村腟措垉ぜ茲蠅凌諭Nして現実主義者。 …

人が採りうる最良の態度

A.自分の救いのために、困っている人を助けようとする。 これは、非難はされないにしても、少なくとも最良の態度ではない、不純な動機が混じっているから、と思っていた。 B.ただ、困っている他人を見て、かわいそうだ、きのどくだと思い、その気持ちのま…

他者の楽しみを

自分が煩悩に引きずられていると認めながら、貪りの傾きから立ち直ろうとしない者は、実は他者の楽しみを追い求めているにすぎない。 他者の楽しみを、自分の楽しみだと錯覚している。 彼らはくりかえし悲歎と憂いに落ちる。 己が楽しみを求める者は、さまざ…

マザー・テレサ

マザー・テレサは、死の看取りの場で、相手の信仰する宗派を訊いたという。 そして、ヒンズー教ならガンジス川の水をかけてあげた。イスラム教ならコーランを読んであげた。 テレサ自身はむろん、キリスト教を誰よりも深く信仰している。 彼女のこのような行…

身につまされる言葉

…わたしが得たのはただ納得であって、信仰ではなかった。… 多くの経典や研究書を耽読した三十歳代であるが、絶えず了解し、絶えず迷い、結局そこに残ったのは「知識」であったといえる。 (鷲巣 繁男 遺稿集より) 実に身につまされる言葉だ。 宗教に興味な…

妙手の代償

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教等が主張する、人間に話しかけたり命令したりする絶対人格神とは、「存在の意味」を俗耳に入りやすいように対象化してみせたものだ。 神の現存を実感している信仰者が、そのことに気づいていようといまいと、彼・彼女のして…

結局

ある会話。 「そういうことは、結局あなたのためにならない」 「“結局”がどうだろうと、ぼくの知ったことじゃない。 ぼくは“結局”なんか、これっぽっちも気にしたくないね。 大事なのは、今の瞬間のぼくの気分、ぼくの希望、ぼくの欲求だけだ。 それが“結局”…