哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

架空対談5

現実主義者
それは、たとえばこういうことでしょうか。
何か事件を起こした人の親もとに「自分が親なら、世間への申し訳なさに死ぬだろう。おまえたちはよく平気で生きていられるものだ」などと、しつこく電話してくる…


仏教者
「おまえたち親は、責任をとって死ぬ気はないのか」って、それでなくても弱りきっている父母の心を自分の力で決定的に破壊させるかもしれないという快を貪る匿名の「道徳家」達だ。


現実主義者
あるいは、わが子を誘拐されて憔悴しきっている親に「もしもし、おれは犯人だが」と電話をかける無関係な人間。捕まると「会社で不愉快なことがあったので、つい出来心でやりました」。
あるいは、少女を暴行して、逮捕されて取調べを受けると「何々(テレビゲーム、劇画等)に影響されたから」などと、臆面もなく自己分析を述べる未成年、A、B、Cとか。人をひき殺すかも知れぬ未必の故意の快を貪る暴走族とかね。
みな、どこかでいじめられた怨念が八つ当たり的に噴出してるんだが、自分のやるべきことを全然せずに惰眠を貪っている姿でもある。


キリスト者
犯罪者は、心に病気を持った患者だって言う人がいるけど…


仏教者
心に病気を持っているのが患者なら、ほとんどすべての人間が患者ですよ。


現実主義者
普通の人は、まだ犯罪を犯していない患者ってだけだ。


キリスト者
しかし、犯罪者は特に重症で、わたしたちは心を病んではいるが、軽症だと普通の人は思っている。


仏教者
(きっぱりと)それは、むしろ重症の兆しです。


現実主義者
道徳家ぶって匿名の電話をかけたりするのは、たしかにそうですね。





(続く)