哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

架空対談11

キリスト者
じつに、感覚的体験というものが、新鮮に感じられるのは、はじめだけです。
してみると、これは感覚がわたしを欺いているのだと思わざるを得ない。


現実主義者
それは、男女間の快楽にもいえますか。


キリスト者
少なくとも、セックスの快楽については確実にいえます。


現実主義者
だんだん良くなる場合だってあると思うけど(笑)


キリスト者
それは、いろいろ工夫して、ごまかしているから(笑)


現実主義者
それがまた楽しかったりして(笑)


キリスト者
こまったな(笑)


現実主義者
なんで、こまるんですか。


キリスト者
「男こそわがすべて」という、神知らずの女性側の口吻そのままに、男が「女こそわがすべて」といって安心立命しているのでは、「人が生きているのは、そも何のためか」と問われても、なんとも答えようがなくなる。


現実主義者
じゃあ、どうせいいうの(笑)


キリスト者
キリストや釈尊に、われわれの思いを込めなければならんと思うね。
なんと尊い生命であることか、この世に生きていることを精一杯楽しめ、とあなたは言う。
それなら、いずれ絶対死なねばならぬ宿命をどうあつかうのか。あつかいようがないじゃないですか。
実際は、ただごまかしているだけではないですか。
いったい、生をむさぼるだけの態度が、なんで健康的ですか、猿じゃあるまいし(笑)


現実主義者
あなたのいいたいことは分からないでもないんですがね。
人生に無常を感じて、はかなんだり沈みこんだりする。はては、死後の世界などという当てにならないものにすがりつく。
そんな、お婆くさい有様は、惨めたらしくて見るに耐えないですよ。
同じごまかしなら、生を謳歌して元気なほうがいいのであって…


キリスト者
いや、それは違うと思う。
たいした考えもなく「生きてることが最高さ」という根無し草的人生こそ正視に耐えない。


仏教者
死ぬということは、真剣に考えなきゃならんですよ。


現実主義者
それは、だれでも真剣でしょ。


仏教者
いやいや、さにあらず(笑)





(続く)