哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

名優 市川雷蔵

 何を演じてもダンディな市川雷蔵
 
演技を離れた普段のこの人は、実直な公務員みたいに見える。演技中の大スター雷蔵とのコントラストがすごいのだ。

眠狂四郎は、以後何人もの俳優が演じたが、円月殺法というアホみたいな剣術の動作を、これほどかっこよく魅せた俳優は、今でも雷蔵をおいてほかにない。
 
 
 
 

陸軍中野学校」は、人を狂わす戦争の底気味悪さを、雷蔵独自のニヒルな色気を最大限活かすことで、映画の娯楽性を失うことなく見事に描いた名作だとおもう。
 
   戦争という悪魔的状況の中では、優秀な善人が自分の個人的幸福の全てを犠牲にして可能な最善を尽くしても、まさにその一途な奮闘が、はかり知れない惨忍無道の結果を招いてしまう。
 
 
 
 
 ちなみに、雷蔵がこの映画と同じ増村保造監督と組んで完成させた、まったく毛色の違う映画「好色一代男」も素晴らしかった。
原作は大天才・井原西鶴の処女作。
話の最後は、窮屈な日本に愛想を尽かした世之介が、女護島めざして大海に船を漕ぎ出すノーテンキシーンで終わっている。世之介は信念強固で、どんなにむごい目にあっても、いっさいブレないめげない男なのだ。
映画からでも、西鶴の、レベルが違う振切った凄味が、十分伝わってくる。 
 
 
 
 
 
 
 雷蔵が持ち味のダンディーさを抑えて、いくじなしのボンボンを演じた意欲作「ぼんち」。
原作(山崎豊子)と名女優(若尾文子)に恵まれて、見事な代表作の一つになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(My Favorite Songs)
リッキー・ネルソン。
「トラヴェリン・マン」
 
 
(過去記事統合増補編集再録)