芥川龍之介に『蛙』という名作短編がある。
『蛙』作:芥川龍之介 朗読:窪田等 作業用BGMや睡眠導入 おやすみ前 教養にも 本好き 青空文庫 - YouTube
芥川は蛙の演説で、人間の手前勝手な思想のあほらしさを嘲笑している。エンディングの老蛙の蛇に関する説明は露骨に破綻した言いわけに過ぎないが、それでも「なるほど、深いなあ~」と感心する脳内お花畑バカは今でもいっぱいいる。
(バートランド・ラッセル「宗教は文明に有益な貢献をなしたか」大竹 勝訳)より引用します。
この苦痛の多い世界で、万事このうえなくうまく行っていると信じているひとは、彼の倫理的な価値をそこなわずにおることはできない。それは、常に、苦痛とみじめさとに言いわけをしなければならないからである。
(引用終)
古今東西の様々な哲学と宗教は、貪瞋痴に苦しみながら貪瞋痴に夢中の人間が背に腹は代えられぬ必要からついた大嘘の百家争鳴に過ぎない。
現代のように理性が尊ばれ、科学が発達し、合理的思考が興隆を極める時代になっても、なお依然として大多数の人々は、この種の嘘を求めている。
そのため、昔は思想家も単純で、嘘と気づかずついていた嘘を、今は、嘘と百も承知で、必要とする客のニーズに合わせてイージーに提供するいかがわしい商売になっている。
言うほうも言うほうなら聞くほうも聞くほうだ。
こういうのを割れ鍋に綴じ蓋と称す。
自分が聞きたいこと、言ってほしいことを、
ただ見透かして言うだけの相手を受け入れる。
なんと悲惨なことだろう。