哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

ガイア神とマモン神からブッダへ





【ストーリー】より
マンハッタンで大手金融会社の社長として活躍するやり手ビジネスマンのジャックは、クリスマスイブの夜、仕事の帰り道に立ち寄ったスーパーで、奇妙な黒人青年キャッシュから換金できない当たり宝クジ券を買い取るハメになる。「これから起こることは、あんたが招いたことだ」、と謎の言葉を残す青年。その晩、ジャックはいつものように眠りにつくが、翌朝目覚めると、全く見知らぬニュージャージー郊外の家にいることに気づく。隣で眠っているのは、なんと13年前に彼が冷たく縁を切った恋人ケイトだった・・・。
【キャスト】 ニコラス・ケイジティア・レオーニドン・チードル、ジェレミー・ピヴェン、ソウル・ルビネックアンバー・ヴァレッタケイト・ウォルシュ、ジョセフ・ソマー


 キルケゴールは「結婚したまえ、君は後悔するだろう。結婚しないでいたまえ、君は後悔するだろう」と言った。名言だ、特に男には。
三島由紀夫は「それなら、後悔しなければいいのだ」と言った。無理がある、特に男には。





 この世界は「ひたすら生きんとする盲目の意志」の具現だ。擬人化すれば、大地母神(グレートマザー)ガイア支配下にある。女はおのずと大地母神を崇拝する。多くの女たちは根底では地母神ガイアの娘だ。



ブッダは、この神が盲目(貪瞋痴)なのが問題だと教えた。



 ところが、世界で最もダメな存在は俗物の野心ある男たちだ。
彼らは大地母神に反感を持つものの、ブッダの教えを理解できず、たいてい金と権力の邪神マモンを崇拝するからだ。

マモンの貪瞋痴は最悪で、ガイアどころではない。

地母神ガイアの娘たちが愚かな男の暴走を際どいところで食い止めてきた。


 この映画もそういう話で、主人公ジャックが、マモンよりはガイアを信じた方が幸福になれると気づいて、マモン信仰を捨て恋人ケイトと共にガイア信者になったところで終わっている。


 しかし人間は、ガイア神とマモン神のいずれの支配からも逃れて、ブッダの教えを実践しなければ救われない。
ブッダの教えがなければ、女も男も輪廻の地獄世界から脱出できないからだ


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 ちなみに原題「The Family Man」は、この映画の内容を的確に表している。野心家の主人公がマモンからガイアに宗旨替えする話だからだ。邦題「天使のくれた時間」よりずっと良い。相も変らずこんな甘ったるさで誘う必要のある日本の観客は子供だとおもう。


(過去記事統合増補編集再録)