哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

織田作之助「夫婦善哉」


今回で数年、10数年の間をおいて三度読んだことになる。読書嫌いのおれとしては珍しい。
しばらく経つとまた読んでみたくなる不思議な魅力がある小説だ。

この「夫婦善哉」という小説からは、儒教、仏教、キリスト教など外国の知恵が伝わる前からある日本民族本来の固有思想が伝わってくるからだとおもう。

日本民族本来の固有思想とは一言でいえば業の肯定だ。

「業の肯定」とは、笑いたければ笑い、泣きたければ泣き、好きなものは好きと言い、嫌なものには嫌と言うことで、公人の「立派な」理屈より、庶民のさりげない欲求を自覚的に信じることだ。

それが、この庶民の物語を通して自然に淡々と伝わってくる。
(過去記事編集再録)