先日、町内でSさんの葬式があった。 Sさんは、おれが町の会合に出て、周りが知らない人ばかりで気まずい時、いつも気さくに話しかけてくれるありがたい人だった。 若い長男がお別れの言葉を述べた。 「世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい」そんなことを、よくお父さんは僕に語ってくれた。 でグッときた。 「全ては苦しみだ」と説いた釈尊が、入滅目前に言った「世界は美しい。人間の命は甘美なものだ」(大パリニルヴァーナ経)を思い出した。 この言葉は一切皆苦の事実と矛盾するか? 矛盾しないとおれはおもう。