クローズアップ現代「がんを“生き切る”～残された時間　どう選択～」

クローズアップ現代「がんを“生き切る”～残された時間　どう選択～」を、今観終った。

　死という人生の最終場面にどう対処するか。
この重いテーマを扱った番組やドラマを、おれはひとよりたくさん観てきたほうだとおもうが、「なるほど！」とおもったことが実は一度もないのだ。
単身引越しする人の身辺整理の話を聞いてる気分になるだけ。今回もそうだった。

番組内で取りあげていた映画『はなちゃんのみそ汁』

映画『はなちゃんのみそ汁』予告編
以前同じ原作のテレビドラマ版を観た。

　人間は、死という事実は無いことにして生きている。難問を先送りにしてきた。
さあいよいよ死ぬというその時になって急にその答えが見つかるわけもない。物凄まじい死の事実に直面させられると、
１.混乱して支離滅裂になる。
２.死んでも生きてる幻想になお一層強くしがみつく。
この２つの反応しかできない。たいていの人間は両方やる。順番に１.で体力を使い切って２.に落ちる。

　いか様に美辞麗句で飾ろうと「答えはないので、天国に行くとおもってあきらめましょう」と言ってるのと同じだとおもう。

これではダメだ。ではどうする。

「我」にしがみつけば「死」は無いことにするしかない。実際、大多数の人は先を考えずにそうしている。だからいよいよ死ぬというその時に混乱し、未開人のように魂不滅幻想に取りすがるしかなくなる、本人も周囲も。

このあたりで

「我」と「死」は両立できない。

ことに気づけるかどうかで、道が決定的に別れる。

「我」は失敗するプロジェクトだと気づけば、確然たる事実は「死」のほうで、過去一瞬も疑ったことがない「我」が実は怪しいものであることが見えてくる。
真実の答えをここで見つけることができる。よそにはない。
しかし言葉で考える限り、言葉には決って主語があり、この構造によって「我の呪縛」から逃れられない。

（この続きは→坐禅は、根本幻想に気づくためにやる。）