一切皆苦の世界

あらゆる生命は苦しみに会うと、本能的にその苦しみから離れ遠ざかろうとする。
そのようにプログラムされている。

釈尊は「この世界は一切皆苦である」と道破している。
一切皆苦の世界の中で、ひとつの苦しみから離れ遠ざかるということは、別の苦しみにそれだけ近づくことを意味する。

実際、ひとつの苦しみから離れ遠ざかると、確かに苦しみが減るので、その分だけ「快」を感じるが、同時に別の苦しみに近づくことによって確実に増えている苦がある。
そこに時間差があるので「人生楽ありゃ苦もあるさ」と思っているだけなのだ。

本能に従っていては、苦から苦へ渡り歩くだけで、死ぬまで苦しみから逃れることはできない。

では、どうすればいい？

あらゆる生命の中で、本能に逆らって行為する（可能性を持つ）のは人間だけだ。

人間は、この能力を正しく行使しているだろうか？

本能的プログラムに真っ向から逆らう行為であるヴィパッサナー実践が、非常に難しいのはあたりまえと覚悟しなければならない。






※ヴィパッサナー実践
http://www.j-theravada.net/pali/key-vipassana.html