光陰は矢よりも迅かなり、身命は露よりも脆し、何れの善巧方便ありてか過ぎにし一日を復び環し得たる、
徒らに百歳生けらんは恨むべき日月なり、悲むべき形骸なり、
設い百歳の日月は声色の奴婢と馳走すとも、其中一日の行持を行取せば一生の百歳を行取するのみに非ず、百歳の他生をも度取すべきなり、
此一日の身命は尊ぶべき身命なり、尊ぶべき形骸なり、此行持あらん身心自らも愛すべし、自らも敬うべし、
我等が行持に依りて諸仏の行持見成し、諸仏の大道通達するなり、
然あれば即ち一日の行持是れ諸仏の種子なり、諸仏の行持なり。
(修証義 第五章より)