ポプラ社 ISBN978-4-591-10346-3グレード:小学低学年 絵本
ハサミムシのお母さんは命がけの子育てをする。最後には、なんと子供たちに体をすっかり食べられてしまう。卵から出てきた子供は活きた母の体を餌とみなすよう遺伝子にプログラムされているのだ。 |
食いちぎられぼろぼろの姿になっても、最期まで外敵から子供たちを守ろうと巣内をはいずりまわって息絶える母。 |
しかし、よく考えてみると、その子供たちもやがて伴侶を見つけ、交尾して、また子供に食い殺されて……をエンドレスに繰り返していくわけだ。これまでも、今も、これからも… |
それは全体としてどういう意味なのか、とおもわざるをえない。 |
生命の営みは部分的に見ると感動的だが、全体として見たとき、それは地獄絵図ではないのか。「感動」地獄じゃないのか。 |
釈尊は一切皆苦と説いた。この世界のすべてが、結局はすべて苦であるという意味だ。 |
この一切皆苦の洞察は、一般には不人気で、まったく支持されていないし、そもそも理解されたことすらないが、動かしがたい事実である。 |
本能にとって非常に不都合なこの事実を、確実に知りきることからのみ、仏教は始まるとおもう。 |
虫は天性無邪気で、人間は天性邪気。人間世界では、無邪気は悟りに近いとおもう。人間はそのごまかしの能力で自分達だけ文化という幻想世界を作って住んでいるが、人間の世界も虫の世界もほんとはいっしょだとおもう。 |
「感動」地獄を厭きるまで続けてからでないと、決して次のステップに進もうと思わないのが我等凡人の悲しい癖だ。 |
アヴィーチー「ユー・メイク・ミー」
歌詞は、君こそ僕の運命の伴侶だといったありふれた内容。しかしこのシリーズのヴィデオの面白いとこはヴィデオから歌詞を超えたメッセージが伝わってくることだ。
(過去記事増補統合編集再録)