これは誰でも理解でき共感でき感動もできる話だ。 人間も含んだ生きとし生けるもの全部に共通している事実だからだ。 仏教徒はその先を考えるものだ。 男と女がセックスして子供を産み育て死ぬ。 その子供もセックスして子供を産み育て死ぬ。 さらにその子供もセックスして子供を産み育て死ぬ。…… なにも人間に限ったことじゃないのだ。 生きとし生けるものは、これをエンドレスにくりかえす。 それは全体としてどういう意味なのか、とおもわざるをえないのが仏教徒だ。 生命の営みは部分的に見ると感動的だが、全体として見たとき、まったく別の様相を呈するからだ。 ブッダは一切皆苦と説いた。この世界のすべてが、結局はすべて苦であるという意味だ。 この一切皆苦の洞察は、一般には不人気で、まったく支持されていないし、そもそも理解されたことすらないが、動かしがたい事実である。 本能にとって非常に不都合なこの事実を、確実に知りきることからのみ、仏教は始まるとおもう。