父親がテレビで見るのはほぼ時代劇に限られていた。水戸黄門や遠山の金さんみたいなきっちりパターン化された勧善懲悪劇が特にお気に入りだった。
おれは父親への反発からか、その種の安直なパターン時代劇が子供の頃からずっと大嫌いで、時代劇全般も見るのを避けてきた。
おれは父親への反発からか、その種の安直なパターン時代劇が子供の頃からずっと大嫌いで、時代劇全般も見るのを避けてきた。
ところが数年前、町田康が無名時代に水戸黄門等の再放送を好んで見ていたという文章を彼自身の本で読んだ。そのことがきっかけで、急に以前ほどパターン勧懲時代劇も嫌いでなくなり、どんどん見るように変わった。(町田康は後に当時の心境を振り返って
そこには悪は滅んで善が栄えるという安定した世界があった。ここから出たくない、ずっと浸っていたいと強烈に思いました。
と書いている。この眉唾の語り口で逆に本心らしくおもえてくる)
そこには悪は滅んで善が栄えるという安定した世界があった。ここから出たくない、ずっと浸っていたいと強烈に思いました。
と書いている。この眉唾の語り口で逆に本心らしくおもえてくる)
父親が死に、自分も老人になって、わだかまりがとけ、ちょっとしたきっかけで、抑えていた本性が一気に出てきたようだ。もともと時代劇が好きだったのだ。