哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

楢山節考(木下恵介版)





【ストーリー】
亭主に先立たれた老婆おりんは、嫁に先立たれた息子の辰平の後妻を探しながら、けさ吉はじめ3人の孫の面倒を見ている。村では、貧しい村での口減らしのため70歳になると楢山まいり(姥捨て)をする風習があった。村の祭りの日、隣村から亭主に死なれた玉やんが後妻にやってくる。これで心おきなくお山へいける、というおりんだったが…。

【キャスト】
田中絹代高橋貞二望月優子、市川団子、宮口精二伊藤雄之助東野英治郎、三津田健、小笠原慶子、織田政雄、西村晃、鬼笑介、高木信夫

 「楢山節考」は、学生時代に観て最も衝撃を受けた映画。
二つの映像が今も脳裏に焼き付いている。
一つは、おりんが石で自分の歯を折った血だらけの口でニタと笑うシーン。
二つは、雪の中で座っているおりんが、戻ってきた息子に無言で(いねいね)と手を振るシーン。

二度映画化されているが、おれはこの底恐ろしい木下恵介版が好きだ。

 目先をちょっと変えられると、もう別物だと思って気づかない世間だが「楢山節考」は貧しかった時代のたんなる伝説ではない。
現代社会も、覆っている薄皮一枚めくれば、すぐにこの世界は現れるし、いま現に透けて見えている。





ちなみに、1983年今村昌平版はこちら(ちゃんと観たければTSUTAYAとかで)。見事カンヌ映画祭パルムドール受賞。