哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

架空対談20

司会者
ここからは、世相を一刀両断にしてください。

現実主義者
無理だよ(笑)

司会者
じゃあ、悪口でもいいです。大悪口大会をやりましょう。ここに、犠牲者になってもらう相手をメモしてきたんです(メモを出す)えーっと、日本人、儒教道徳、女、政治、ニーチェ三島由紀夫…まあ相手にはことかかない(笑)
全部はとてもやれないでしょうが…

キリスト者
だいぶ前の話を思い出したんだけど、ポルノ専門の場末の映画館に入ったんですよ。火曜の夕方だから空いてるだろうとと思って入ったが、ばかげたことに満員に近かった(笑)
しかも、若い男女の客が多いかと思うと、そうじゃない。中年の男が多い。

現実主義者
あんた、自分も観に入ったくせに、文句たれることないよ(笑)

キリスト者
(笑)それはそうだが、まあもうちょっと聴いてください。
よく見ると、頭の白いおじいさんが、けっこういるのに驚く。そのとき入ってきたおじいさんは、よれよれのカバンを抱いてよろよろ歩いていた。こんな年寄りが、たぶんひとりで来てるんだね。僕の近くの席に座わって、あごに手を添えて一心に映画を観ている。
そこへ、腰の曲がった、これも相当な年のおばあさんが、箒とちりとりを両手にして入ってきて(映画館に雇われてる)通路に座り込んで、皺の中に落ち込んだ小さな目でスクリーンを見ている。

仏教者
ハッハッハッハ(突然笑い出す)

現実主義者
どうしたの?

仏教者
いやね、僕も思い出しちゃったんですよ。まえに「外国のおなごはけものみてえだ」なんて言う田舎のおばあさんがいて、僕は不思議に思ったが、きっとその種の映画を見て単純に真に受けたんだろうね(笑)

キリスト者
その推理はたぶん当たりだな。
でね、率直に言って、棺おけに片足入った年の人が、寂しくひとりでやって来て色気たっぷりの様子で、こんなものに見入っている有り様は惨めなことだと思うんだ。

現実主義者
惨めに見えるのは、あんたの主観であって、本人はなんとも思っていないでしょう。
僕は人間的で微笑ましいと思う。だいたい、テロや戦争で殺し合いをやってるのに比べたら、そんなのは、はるかに罪がないし別に人に迷惑をかけてるわけじゃないから何ら恥じることもない。

キリスト者
なんでそこでテロや戦争が出てくるの(笑)
でも、あなたの言いたいことは分かりますよ。「いい年をして、世間様に恥ずかしいからやめなさいよ」なんていう連中がいるんだ。僕は外聞を恐れて良い子ぶる人々は、この色気いっぱいの年寄り達よりずっと人間として惨めな状態にあると思いますよ。

現実主義者
そうなんですよ。りっぱなもんですよ(笑)





(続く)

DVDを観る
ウルトラヴァイオレット」下佳作。
マイアミ・バイス」上佳作。

この2作を続けて観た。
映画のできの差は明らか。
内容の乏しさを、金に飽かしたデジタル処理の映像で補うことはできない。