哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

映画『岸辺の旅』…誰も死んでない

邦画『岸辺の旅』


 失踪中に死んだ夫が妻のもとに帰ってきて「俺死んだんだ」と言い、夫の思い出の場所巡りを二人でする話。

霊魂が不滅であるという考え方は、生ける人間の生命への執着と死者への愛着とのあらわれでありましょう』(川端康成

 この種の物語では、決まって死者が「生きてる君のことが忘れられず、あの世から戻ってきた」と言うのだが、もちろん真相は逆だ。生者の愛着が死者を語らせる。

「あとから行くよ。また会おうね」「うん、待ってるよ」…已矣哉

 人がこの愛執から自由になれず、いつまでも生き続けたい自分を捨てないなら、いじめも戦争もなくなることはない。