「お早よう」監督:小津安二郎
「お早よう」監督:小津安二郎 秀作
昔見たが、気になってまた観た。
以前見たときはかったるい映画と思いちゃんと観なかったが、なぜかひっかかるものが残った。今度観たらとても面白い。
以下は、エンディングの佐田啓二と久我美子の会話。
佐田「アア、いい天気ですねえ」
久我「ほんと。…いいお天気」
佐田「この分じゃ二三日つづきそうですね」
久我「そうねつづきそうですわね」
佐田「アアあの雲面白い形ですねえ」
久我「アアほんと面白い形」
佐田「何かに似てるなあ」
久我「そう何かに似てるわ」
佐田「いい天気ですねえ」
久我「ほんとにいいお天気」
昔はこういうのが大嫌いだったのに、悪くないとおもえるようになった。
おれもいよいよ歳だな。
途中ははしょって結論だけ云うが、こういう情操ないし思想の淵源は本居宣長だとおもう。
「鈴屋問答録」七で「人死ぬれば、善人も悪人もよみの國へゆく外なし」と明言している。
宣長は釈尊もキリストもペテン師扱いにして否定している。
そういう人生観の行き着く最善は「お早ようと言い合うような無駄こそ大事だ」ということになる他ない。そして「お早よう以外の大事なこと」が、男と女が互いに「好きです」と伝えあうことなのだ。…やっぱりこれだけじゃどうしようもないな。
しかしこの映画は名作だ。東京物語よりいいとおもう。
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