哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

邦画「魂萌え!」

 邦画「魂萌え!

【ストーリー】より
 専業主婦の敏子はふたりの子どもを育て、夫の身の回りの世話をして生きることに何の疑問も不満もなかった。ところが、ある日突然、夫が亡くなった。そのとたん、噴出する数々の問題。アメリカにいた息子は嫁と子どもと帰国し、同居するといい、娘は自分の居場所がなくなるから反対をする。自分勝手な子どもたちにうんざりしていたときに、ふとしたはずみで知ってしまった夫の浮気。夫は、会社の同僚の女性と長年にわたり不倫していたのだ。親友4人に励まされつつも、どうしていいのかわからない敏子は、ひとり家を飛び出す・・・。
【キャスト】
風吹ジュン田中哲司常盤貴子藤田弓子由紀さおり今陽子林隆三左右田一平なぎら健壱、中沢青六、根岸季衣


 平凡な主婦の魂の芽生え、再生の物語みたいなことなのかな、多数者の反応としては。

 おれは全く違う感想を持つ。きっと大多数に共感されないし、この映画の直接の批評でさえないが、あえて以下に書く。


 人間は動揺が大好きである。映画の広告の看板を見ても、動揺した顔ばかりがかいてある。
(澤木興道老師)

 大多数の人々は動揺が大好きなので、動揺の供給源である物語から離れたいと望んでいない。
自分が主役の映画に没頭して見入っている人のように、スクリーンの自分とそれを見ている自分を区別したがらない。
夢の中で永遠に泣いたり笑ったりしていたいのだ。

永遠に生きられるならそれもいい、永遠に生きられるなら…
そこで人間の大多数はどうしたか。



 その永遠に泣いたり笑ったりして生き続けたい欲の力で、自分は死んでも生きているという無法千万な妄想を、周りの空気を敏感に察して鵜呑みにしたのだ。彼らは物心がつく前にその盲信を完了したので、自分が不死を信じている事実に気づくことさえほとんどできない。

 あの世の天国も地獄も、さらに言えば夢から覚める悟りも、すべてが夢物語の中で完結してしまっている。彼らの現実はそういうシロモノだ。

 大多数の人々は共同幻想という夢の中でグループ惚けしていることをもって自己の幸福と感じている。
この根本原因がある限り、この映画で描かれている魂の動揺物語がくだらん変奏を加え切りなく反復されるのは間違いない。
さらに、日々いじめもくりかえされ、未来永劫戦争はなくならず、悲惨な世界であり続ける他ないのは自業自得の結果だとおもう。



(過去記事増補編集再録)