哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

日本映画 「母べえ」

日本映画
母べえ


母べえ(予告)


 この映画は全体ちょっと辛気臭い。しかしラストシーンが類まれで素晴しいと、おれはおもう。

「あの世に行けば父べえにもみんなにも会えるね」とお定まりの慰めをいうまわりの善人たちに、主人公(吉永小百合)が最期にこの人類常在の共同幻想をきっぱり拒絶する。
「死んでからじゃなく、生きている父べえに会いたい」
このラストメッセージの真の意味を、残念ながら、多くの人が理解しないし理解したいともおもわないだろう。

 殺す者・殺される者が同じ幻想を共有している限り、
戦争は人類絶滅まで切りなくくりかえされる他はない。


[補完記事]➡先天的幻想

 現代人は「人は死んだらそれでお終い。死後の世界なんて無い。そんなの常識。誰でも知ってる」と言いながら、自分で直視しないようにしている本心では「他人はみな死ぬが、自分は死んだ後も生き続ける」と原始人のように盲信している。
そして、この盲信こそが、世界中で人と人が切りなく虐め合い憎み合い殺し合う真の原因だと、おれはおもっています。


(過去記事増補編集再録)