哲学日記

存在の意味について、日々思いついたことを書き綴ったものです。 このテーマに興味のある方だけ見てください。 (とはいえ、途中から懐かしいロック、日々雑感等の増量剤をまぜてふやけた味になってます)

架空対談18

仏教者
現実主義者を指して)あなたが休憩前に言ってたことですが、生まれて、ジタバタやって、わけも分からないまま死ぬ…(笑)
命ある者の運命はみなこの通りなんで、生命のこの自覚を強いられているのが、自意識を持つ人間の定めなんだと思うんだ。


キリスト者
その自覚にぶち当たるいくつかの契機の中で、最も切実な関心を持つのが「自分の死なねばならぬ定め」についてであろうと思うわけです。

仏教者
ええ、大きく分けて三つの契機がある。生まれるという契機、生きているという契機、死ぬという契機。
今、こうして生きていることも、不思議さにおいて、死ぬことに劣らないんだけれど、とにかく僕は、この事態に慣れているので、なんとなく分かっている気分でいられるんですよね。

キリスト者
ほんとは、二つの深遠なる闇なんですよ…死と生。

仏教者
生まれるという事は、死よりももっと不思議で重大な契機だと、時にいわれたりしますよ。

キリスト者
それはそうだと思います。
誕生は、その不思議さにおいて死に勝っている。

現実主義者
「自分は生まれた。これはなぜか」というのは根源的な問いですが、「自分は死ぬ。これはなぜか」というのは、ある意味、日常的な問いだともいえますからね。

キリスト者
ある日ひとりの女の股の細い管の開口部から、絞り出されるようにこの世に現れた瞬間が、僕自身のうえにあった事実は、僕自身にその覚えがなくても確実なんだよね。
狭い袋の中に十ヶ月も両膝と額を押し付けるように丸まって、液体漬けになっていて、栄養は臍から摂っていた、おそろしく変なある物が(笑)この僕自身だということも、僕の正直な感覚がまるでそれを本気にしていなくても…確実なんだ。

仏教者
そうなんだよなあ。
おもえば、確実であるにもかかわらず、依然として信じがたいことばかりだけど、しかし「済んだことだ」と思い捨ててしまえば、実際上無関心でいることも、比較的容易なんだよね。

キリスト者
そうなんだ。済んだ事ってのは弱いよね(笑)






(続く)





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