選択の余地など一切ない
さとりに至る実践の修養のほかに、感官を制御することのほかに、一切を捨て去ることのほかに、生ける者どもの平安を、われは認めない。
(ブッダ 神々との対話2・7中村 元訳)
事実は、恐ろしく厳しいものなわけです。
選択の余地など一切ない。
これは事実だから、絶対変えようがない。
人は昔から、いろんな「幸福になる方法」を発明して、あらゆる誤魔化しをやって、この事実だけは見ないようにがんばっている。
ことごとく徒労、無駄な努力。
心は常にあわてふためき怯えている。
「小さな幸せ」「つかの間の安らぎ」…そんなものも本当はない。
酔生夢死の人生でいいと思ったら、その人間はもう、この世の支配者に降参している。
それより、事実を潔く事実と認めれば、そこから思いもかけぬ新たな道が開けるかもしれないのに、それは怖くてできない。
一切誤魔化さず、堂々ときっぱり認めてしまえば、べつに怖いことも恐ろしいこともなく、カラッと明るい気持ちになるかもしれないのに。