「タウンゼント版イソップ寓話集」から引用させていただきます。
57 虚飾で彩られた烏。
ある、言い伝えによると、ジュピターは、鳥たちの王様を、決めようとしたことが、あったそうだ。ジュピターは、鳥たちの集まる日時を決め、その中で一番美しい者を、王様にするというお触れを出した。
烏は、自分が醜いことを知っていたので、美しく装うために、野や森を見てまわり、他の鳥たちが落とした、羽を拾い集め、からだじゅうに、貼りつけた。
約束の日、鳥たちは、ジュピターの前に集まった。そして、色とりどりの羽で、着飾った烏も姿を見せた。ジュピターは、烏の羽が美しいので、彼を、王様にしようとした。
すると、鳥たちは、憤然と異議を申し立て、それぞれ自分の羽を烏から引き抜いた。
結局、烏に残されたのは、自分自身の羽だけだった。
(引用終)
もし人が、その人自身の正味だけで判断されるなら、ほとんどの人はなんでもない者だとわかるだろう。
ほとんどの人は、その正味の自分をめったに直視せず、さあいよいよ死ぬというその瞬間まで、わざと忘れている。
その世間気が、自作自演の苦しみを作って、人生を台無しにしてるのに。
…親だとか先祖だとか背景だとかで、値うちをもたそうとしてはならぬ。金や地位や着物で味をもたせてはならぬ。自分で生きてゆかねばならぬ。現ナマじゃ。宗教とは現ナマの自分で生ききることじゃ。
(「澤木興道老師の言葉 禅に聞け」櫛谷 宗則編)
(My Favorite Songs)
友川カズキ。
「生きてるって言ってみろ」
(過去記事統合増補編集再録)